卒業を間近に控えた大垣市日新小学校の六年生39人が17日、地元の染色加工業者の協力で卒業記念のオリジナルTシャツを作った。プリントする図柄の発案から染色まで、児童自らが手がける初めての試み。世界で一つだけのTシャツを手にした児童たちは「自分たちがデザインしたものが形になってうれしい。みんなの思い出になる」と喜んだ。

Tシャツ作りは、同市大外羽、大垣化染の野村末廣・代表取締役(66)が、昨年から同校の後援会長になったことがきっかけ。Tシャツなどの染色をする同社の地域貢献を模索していた野村さんと、児童に「一生記憶に残る体験をしてほしい」という学校側の思いが一致した。

図柄づくりは、卒業制作実行委員八人を中心にクラス全員で進めた。表側のロゴは、一年生の頃から熱心に取り組んだ一輪車とけん玉を採用した。中央には、笑顔を浮かべる丸顔のキャラクターに見立ててけん玉を配置。一輪車二台を左右に置き、大きな円で包み込んで、全体でも一つの顔に見える。

ロゴの下には、団結力のあるクラスを表した「さ・い・こ・う・チーム」の文字を並べた。Tシャツの裏側は字体や色使いに工夫を凝らした「NissiN」の文字を取り入れた。

この日、同社の染色工場を訪れた児童たちは、シルクスクリーンという染色技法に挑戦。長さ25メートルのプリント台の前に一列に並び、図柄を基に同社が事前に用意した型を記事にあて、専用のゴムヘラで顔料を丁寧に伸ばした。高熱機械による乾燥と染色を何度も繰り返し、約3時間ほどで完成させた。

児童たちは「袖を通さずに大事に飾っておく」などと大喜び。実行委員の児童は出来栄えに「百点満点」と声をそろえた。

野村さんは「モノを一から作り出すという経験は一生忘れない。子どもたちの喜んでいる姿が何より嬉しい」と話していた。

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