名古屋市西区と中村区、愛知県西部の海部郡蟹江町と愛西市、また岐阜県にはプリントや縫製、編み立ての加工業やメーカーが集まっている。現在は2代目、3代目に引き継がれ、規模は小さくても家業の技術を活かして新たな技術や販路を開拓している。

プリントの丸昇(愛知県蟹江町)と石塚ニット(同)、縫製の名古路ニット(愛西市)、染色の大垣化染(岐阜県大垣市)、サンカーペ(東京)、は昨年10月のJFWジャパン・クリエーション(JFW−JC)に「ア・シモン」グループで合同出展した。

素材が中心の同展で、製品サンプルを並べた加工テクニックのディスプレーが来場者の目を引き、同展のホームページにも取り上げられ、サンプル製作の引き合いもあった。「異業種も含め、物作りに関わるいろいろな人と交流することを目指し」(安藤明弘丸昇専務)、名古屋・岐阜の加工業の存在をアピールした。メンバーはいずれも30~50代の後継者で、従来の賃加工には飽き足らず、国産ならではのデザイン性やきめ細かいフォローを武器に、有名ブランドへの提案を強めてきた。

それぞれの工場が近く、親の代から付き合いがあったり、アパレルメーカーを通じて知り合ったりの顔なじみだ。同じアパレルメーカーから依頼されることも多いが、「よく知っているからこそ相手先の加工業に確認をとることもあるし、それぞれが得意な技法を駆使して提案することもある」(同)という。

高級子供服メーカーの丸茂繊維(名古屋市中村区)は自社工場で生産するが、仲間に加工を委託することも多い。「丸茂さんの服を縫うと工場が静かになる」という名古路ニットの名古路輝取締役。高級素材をていねいに縫うため、量産品を縫製するような騒がしさはない。効率はおチルが、「縫製以外の時間ロスを無くす工夫が出来るようになった」とも。

若い後継者による技術革新や新規販路開拓を通じて、ライバルでもある同業者や異業種との関係が”系列の下請け”から”共存する仲間”へ変化している。従来は同業者の組合などでしか知り合えなかった加工業者が、メード・イン・ジャパンの高品質な物作りを追求する中で、輪を広げている。昨年末に丸昇・安藤専務と名古路ニット・名古路取締役が交流会を呼びかけたところ、予想をはるかに超えるメンバーが集まり、情報交換や新規事業への意欲の高さをうかがわせた。

「今後も横のつながりを大切にして、情報交流や協業の可能性を追求したい」(丸昇・安藤専務)と意欲を燃やす。

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